インタビュー第1回:トランスジェンダーとして二十代後半に性別移行を決意した
不定期にインタビューを実施します!
第1回目のインタビューに応じてくれたのはこつめくんです。
本記事では、トランスジェンダーとして二十代後半に性別移行を決意したこつめくんに焦点を当て、インタビュー形式でそのリアルな体験談をお届けします。性別移行を経験する中で感じた葛藤、勇気、そして新たな人生への挑戦―これらが同じ悩みをもった一人でも多くの人の参考になれば嬉しいです😄
名前:こつめくん
年齢:34歳
性別:出生時→女性 医師から性同一性障害の診断あり
身長:157
体型:瘦せ型
トランスジェンダーとは?
トランスジェンダーとは、自分の性別が出生時に割り当てられたものとは異なると認識している人々のこと。これは、性自認(自分が感じる性別)と、出生時に割り当てられた性別(通常は外見的な生物学的特徴に基づく)が一致しないことを意味します。
トランスジェンダー:性別に違和感を感じた瞬間

こつめくんが自分の性別に違和感を覚えたのはいつ頃?

保育園のとき。
何かのイベントの中で保育士さん(女性)が、男子にだけほっぺにキスしてくれるっていう時があって、先生にキスされる男子が羨ましかったんだよね。一番古い違和感の記憶はソレかなぁ。
あとは小学校高学年ぐらいのときから、親が用意してくれた服より男子のものの方がかっこよくて着たいって思ったし、ピアノの発表会のときに親が用意したスカートの服を着ることが苦痛だった。男子の服がとにかく羨ましかった。

保育園のイベントすごいな…。そんなイベントあるんだ…。
こういうのって誰かに相談とかしたの?

相談とかはしてない。
同じ状況の人が周りにいなかったから。
いれば相談したいと思ったかもなぁ。

その後はどんな感じだったの?

中学生になったら制服でスカートを履かなきゃいけなくて、それは結構地獄だったかな。私服だったらある程度中性的な格好は出来るけど、制服だと一発で区別されてしまうからね。
高校は私服の高校に行けたのは良かったんだけど…、新しい環境で男子と友だちになりたかったんだ。でも上手くいかなかったし性差を感じて惨めになることも多かった。

制服は逃れられないもんね…。
性別って本当に難しい…。

大学生になって試しに少し女性らしい服を買ったりとか、髪をちょっと伸ばしたりして、自分の身体の方に精神を合わせることにチャレンジした時期もあったけど、全然しっくりこないんだよね…。やっぱりメンズの服とかの装いの方がいいな、したいなって思ってしまう。

いろいろ努力したんだねぇ。
偉すぎるよ…(涙

とにかく学生生活全般を通してだけど、自分が女性として社会の一員になるというのは想像できなかったかな。冠婚葬祭の時も女性用のフォーマルな格好や化粧がすごく嫌だったし…、就活も女性用のスーツ着たり、化粧したり、みたいなのが本当に無理で結局1社しか受けなかったよ。
大人になるにつれ、日常の中で性別で分けられたり、性別を意識せざるを得ないことも多くなって、絶望が増していったって感じかな。女性の集団の中にいると、絶対自分はここに居ていい存在じゃないって思うんだけど、言えない。羊の群れの中に狼が紛れ込んでる感じ(?)

それは辛い…としか言いようがない…。
当事者にしかわからないよね…。
↓こつめくんが自分の体型に合った服を探すことをテーマにインタビューに答えてくれています!

あと、自分は昔から恋愛対象が女性なんだけど、そもそも恋愛に関する話をオープンにできないというのが苦しかった。普通に自分の恋愛の話(それが上手くいっていてもいなくても)をしたり、結婚してる人たちが羨ましかった。それは同性愛者の人たちも同じだと思うけど…何の気兼ねもなく恋愛話が出来る性別に生まれたかったね。恋愛対象の話をしたら、自分の性自認についても話さざるを得なくなるから…。

ただ恋バナがしたいだけなのにそれすらも躊躇してしまうなんて…(涙
これからいっぱい話聞くからね(涙
トランスジェンダー:性別転換に向けた行動
病院探し

いろんな経験をして今があると思うんだけど、一番最初の性別転換に向けた行動はいつ、どんなことをしたの?

26歳ぐらいのとき、親族の結婚式に男性もののスーツを着ていったら親にすごく怒られてメンタル的に…。これまではのらりくらりやり過ごしてきたけど、限界を感じたんだよね。
それで、その当時住んでいた県内の精神科医に診てもらったことかな。

そこではどんなことがあったの?

行った病院は性同一性障害の専門医ではなかったから、「診断書がほしいなら書いてあげますよ」とかいきなり言われて適当に感じたんだよね。不安も感じたからそれっきり。せっかく車で2時間かけて行ったのに…。
それでもう1回ネットで調べたんだ。当時はたまたまバンドの練習で月1で東京に行ってたから、東京で自分に合った病院探したよ。
見つけた病院は、先生も当事者だったし、患者数も多くて信頼できそうって思ったんだ。ちゃんとガイドラインに則って治療を行っていたところだったしね。
周りの誰にも言わずに、でかい楽器を背負いながら遠方から通うのは結構大変だったけど…、当時はそれしか出来ることがなくて、通った。

でもそれぐらいこつめくんにとっては大事なことだったんだねぇ。
ホルモン治療開始

半年から1年弱ぐらいそこに通って、先生の許可が出たからホルモン治療を開始したんだ。

ホルモン治療を開始した理由とかあるの?

やっぱり自分の身体が男性化することを望んでたんだよね。
ホルモン治療をすると生理が止まったり、声が低くなったりするんだ。

怖い、とか思わなかった?

怖くはなかったなぁ。とにかく変わりたかった。
声が段々低くなっていくのは楽しかったよ。最初はガサガサだったけど。

すごいよ…。
ガサガサの声聞いてみたかった(笑
ホルモン治療ってお金は結構かかるの?

自分の場合は、4か月に1回注射と血液検査で30,000円弱ぐらいかな。
参考まで:注射→20,000円、血液検査→7,000円

働いていれば払える感じだ。
注射ってやっぱり痛いの?

尻に打つんだけど、自分はとても痛いときの方が多いかな。

ひゃあ~~~。
確かに痛いときは突っ伏して死んでるもんね。
気まずいカミングアウト

ホルモン治療を始めたときは地元で仕事をしていたんだけど、やめたんだ。
周りに性別のこと、ホルモン治療をしていることとか言ってなかったから。
そのままそこで働き続けるためには、カミングアウトしなければならないんだけど気まずくて…。カミングアウトはせずにやめちゃった。
無職の期間中には自分の身体と性自認を一致させるために乳腺摘出手術をしたよ。
それに新しい生活を始めるために名前を変えたかったんだ。改名手続きもした。

いつものルーズなこつめくんとは思えない行動力…。
親っていつからこのことを知ってたの?

ホルモン治療1か2回目で親にカミングアウトしたよ。
そのとき、親は「容姿にコンプレックスがあって可愛い服を着ることが嫌なだけだと思ってた。」ってショックを受けてたよ。トランスジェンダーではないと思ってみたい。
ほかにもホルモン治療が身体に問題ないのか、とか色々心配してた。
自分で説明するより直接病院の先生の話を聞いてもらいたかったから、親も一緒に病院に行って、先生の話を聞いてからは理解をしてくれるようになったかな。
そのときの先生の言葉に「親との関係が良くなかったら幸せにはなれない」ってのがあって、良い先生だなって思ったよ。

容姿にコンプレックスがあって…は逆に失礼では!?と思ったけど、きっと親はそう言いたかったんじゃないよね。言葉って難しいねぇ…。
お医者さんも家族も素敵だねぇ。
最後に
今日はこつめくんにインタビューしました。
快く答えてくれたこつめくん、本当にありがとう。
こつめくんの場合、という感じで人間の数だけ経験があると思います。
いつか、すべての人が自分の性別についての自己認識を尊重されて、自由に表現できる…そんな社会になるといいですよね。
このインタビューによって少しでもトランスジェンダーの人々に対する理解に繋がれば嬉しいです。
以上、ドンぐりでした。
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